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    むかしMATTOの町があった

    むかしMATTOの町があった

     イタリアには精神科病院がない。

    精神科病院の廃絶を最初に唱えた精神科医フランコ・バザーリアの映画。

     これについての、講演会が本日、大阪で。

    『むかしMattoの町があった』自主上映会特別企画
    「鼎談 イタリア精神保健改革をもっと深く知りたい!」 大阪講演

    【出演者】
    前トリエステ精神保健局長  ペッペ・デッラックア
    180人のMattoの会代表  大熊一夫
    同 副代表  伊藤順一郎
    (通訳:松嶋健(京都大学人文科学研究所))

     ペッペさん。

     「監禁も拘束もなしで治療はできる」から始まって、日本での「常識」を次々に覆すような内容を淡々とやわらかい口調で話していく。
    イタリアでは精神科を廃止し、患者さんたちは、原則的に地域や精神保健センターのようなところで、24時間365日という形で対応をしているとのこと。

     当然ながら、ここに至るまでには各局面で様々な抵抗があり、それを描いたのがこの映画。


     会場はこういうテーマにしては、かなりの人数。しかも皆さん、真剣。おそらく切実な事情を持つ方も多いのだろう。

     ペッペさんの語る内容は、現象学や実存といったことにまでしばしば及び、後ろの席からは、さっぱりわからないといったひそひそ声もきこえる。MATTOの会のお二人が会場のそのような雰囲気を察知して、もう少し身近な内容にふろうとしても、またそういう話に戻ってしまう。


     しかし実際は単純なことを何度も反復していたと思う。精神の病の方たちも、当然ながら人であり、尊厳があり、人としての見合った対応をされるべきだと。この点が一切ぶれない。常に各段階での判断をそこに戻ってなすということが徹底している。
     哲学の相当な教養も背景にあるのだろう。


     このあたりの意図は今回、通訳をされていた、松嶋先生のおかげで、適確に伝わってきた。この方、すごい優秀。


     精神科病院廃絶というラディカルな運動なので、きっと現実のかなりきつい抵抗に対しても、ひるまず続けるには、このような原点の確認が常に必要だったのだろう。


     ただたしかに、このような話で、(休憩なしで!)150分は、なかなか辛いと感じる人も多かったかな。もっと身近で切実なことについて参考になることをききたかった人もいただろう。しかしそうそう予定調和ではいかないだろう。


     私程度の知識で是非の判断はできない。しかし重要で意義ある試みではあるとは思う。実はまだ映画は見てないので、どこかに遠征せねば。


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    体験授業

     「体験授業」というのが、学校にはいろいろとある。

     たしかに有意義であったり、為になるんだろうなと思えるようなものも多い。企画者や実行者の苦労や献身ぶりが想像できることもしばしば。


     一方で、子どもたちはそれをどう受け止めているのだろうか?



     今日、その種の企画があったという子たちに、どんなことしたの?と、きく場面がこれまで何度もあった。20年以上前から、何度も。

     こういう問いには、子どもたちは、困ることが多い。楽しかった?には単純に、うん、とか全然、とか答えればいいが、内容をこたえるにはそれなりの理解と熱意が必要になる。

     子どもたち。たいていの答えは「ようわからへんけど、なんかやってはった。」というもの。



     大学から、京都に住むようになってまだ長くないときにしばしばきいたこの京都表現は強く印象に残っている。なんというか、その「やってはった」という他人ごとぶりというか、奇妙な間合いというか。

     同時に、体験授業というものの子どもへの到達度合というものも、実に的確に反映した表現だなとも感じていた。


     
     以来、体験させるということは一体どういうことなのか。そもそもそんなことが可能なのか、ということはずっと気にしてきた。



     「最近の子どもは実体験不足」だといった種類の言葉は実に多く満ち溢れている。


     しかし、さてそれを言う人がそれをどの程度の射程や奥行で発言しているのか、それを体験済みの自分の優位を誇るといった、型通りの発想を補強するようなものではないのかどうか。注意が必要だと思う。


     企画者が与えているつもりの「体験」と、実際に子どもたちの受け止めている体験との齟齬。たとえば、こんな感じではないかと、私が戯画的に例に出すのは、次の光景。



     「さて今日は恋愛というのがどんなものかキミたちも体験してみよう」
     といって、教師が生徒たちを集団で公園に引率していく。

     公園には恋人たちがいて、手をにぎって歩いたり、ベンチに座ってお互いうっとり見つめあいながらとりとめのない会話をしている。・・・

     ひとしきり、いろいろなカップルの生態を見せた後で、

     「これでキミたちも恋愛を体験できたね、」と生徒たちを整然と帰路につかせながら、教師は満足気な笑みを浮かべる。


     といったもの。

     いまどき、公園か、とか、お互いにうっとり、ってどれだけ安上がりの演出かとか、隅っこでキスしていたカップルは生徒たちの視野から隠して見せないようにしていた、とかいうことも含めて、体験授業の実質を反映しているのではないかと。



     これはそういうことしか企画できない学校を批判しているのではない。その種の批判ごっこには、興味がない。もちろん、学校という現場で上記のような種類のことが一般的に意識されるようになるという期待もまったくない。


     重要なのはひとつ。さて自分が、企画者になれるとして、上記のような言葉をどう乗り越えることができるのか、ということ。


     実はうちの教室だって、かなりのイベントを行ってきたし、これからも行っていく予定。

     うちのイベントについて、体験授業とは銘打っていないが、上記のことは意識している。現時点で、上記の突破法を見いだせているわけではない。近々見いだせるとも思えない。
     イベントにご協力いただく方たちのもつ外部の力(空気)も借りながら、気楽に明るくやりながら考えていくしかない。


     (ところで、「体験」というのは、突き詰めていくとなかなかつかみにくい言葉。
     
     「体験」した程度でわかることなら、(十分に鋭ければ、)「体験」しなくてもわかるのではないか。「体験」した程度ではわからないことこそが核心ということになるのか。

     仮想現実か、実体験かという発想法は早晩、無力になるのでは。しかしこれはまた別のテーマかな。)


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     「小学から高校までの12年教育」
    【小1から始めて、集中力、継続力、自発性ある子に】

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    ■子どもたちは樹の香りのする寺子屋風の教室で、無垢の木の机を囲み、床に座ってのびのびと学習します。

    ■大学受験予備校講師や中学受験指導経験豊富なプロ講師が難関大学突破水準を目指し、12年間をかけて、子ども自身に読ませ、書かせ、考えさせることを徹底するという本来そうあるべき方法で丁寧に指導し結果的に高水準の学力をつけていくことを目指します。

    ■「自分からなかなか始められず、始めても続かない」「親や教師が常に横についていないと、まともに前も向いていられない」といういまどきの手のかかる子ではなく、長期間をかけ、集中力、継続力をつけ、自発的に学習できる子に育てていきます。

    ■設置講座:新小1、2、5、6、中1、3高2。小6年英語。

    ■ベテランプロ講師による医学部東大京大など難関大学、超難関中学受験個人指導、少数限定募集。

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     高の原駅近くに寺子屋形式の教室を開きます。
     子どもたちが杉の床に座り無垢の一枚板に向かって,たのしみながら,のびのびと学ぶ教室です。

     大学,中学受験のベテランプロ講師が,進学中学高校によらず,東大京大国立医学部など難関大学を目標に,小学1年生から高校3年までの12年間を一貫指導します。

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    ※詳しくはお問い合わせください。


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    南野和俊〔代表「言語」担当〕
    :専門 受験国語

    難関中学,高校受験対策指導のベテラン。

    小学生の国語力を戦略的に着実につけていく指導で人気を博する。これまで関西の有名難関中学に数多くの教え子たちがいます。
    一方で大学受験生の指導も長く,多い。

    東京の超難関有名中高校を卒業後,大学では法学を専攻し,有名銀行での社会人の経験もあります。

    カメラから鉄道まで博覧強記。洋酒をこよなく愛し,パイプのコレクターでもあり,アメリカやイタリアのパイプ作家たちとも親交があります。

    石橋英樹 〔「数理」担当〕
    :専門 受験数学,物理学

    大学時代から20年以上を京都で過ごしてきました。

    大学での専攻は天文学。
    科学全般,思想,文学,文化人類学,社会学、映画論など,多くの分野に関心があります。

    超難関大学受験指導経験が20年以上あり、特に京大や国公立私立医学部には多数の生徒を送り込んできました。

    大人数相手の講義から個別指導まで各形式での指導経験豊富。
    大学受験生はもちろん,大学生,社会人,外国人留学生まで様々な指導経験があります。

    京大トップの学生から,全くの0の学力の学生まで,あらゆるレベルの生徒への指導経験多数。

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