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    生きる力

     長く間を空けてしまいました。
     なかなか書くことができなかったからです。


     新年度を迎えるというところで、ずっと昔の教え子の突然の訃報が届きました。通夜で見たその死に顔がずっと頭を離れませんでした。


     一人の死には関係ないかのように、日々の生活はそれでも続いていきます。その日常を送りながら、いろいろなことを考えました。実にいろいろなことを。



     彼を教えていたのは私自身も多くのことを学ぶことのできた非常に理想的な場でした。しかしああいう場で学び、実際に溌剌とし、自立した人格として出て行った彼にさえ「社会」は時に厳しかった。



     あらためて、この教室の運営はこれで良いのか。目の前のこの子たちもいつか、「社会」に出ていきます。そのことを踏まえたうえでなお、この構え方で良いのか。
     その再度の検討なしに、発信は控えようということでした。


     この種の考察において、私はすでにかなり若いころに、「反省」といった種類の振る舞いはやめることにしています。おそらく「反省」とはそれとの向き合いをむしろ避けるためになされる「儀式」であり、共同体の不具合をおさめることを主眼としていると思うからです。


     むしろ必要なことはいわば反芻だと考えます。何度も何度も同じ箇所を巡りながら、腑におちるまで繰り返す。そのためには相応の時間が必要です。



     もちろん、学校でさえない場で教育できることといっても知れていますし、その力を過信しているわけではありません。
     この場でもいつかそういう場面があるかも知れないということは、始める前にも話をしていました。

     私たちにそれを止める力や、救い出す人格があるというような驕りもありません。こうすれば大丈夫だという確実な道もわからない。
     ただひとつ。われわれまでもが、それを後押しするように追い詰めていく流れや「たくらみ」に加担しないようにはしたい。
     そして時には、多少の逃げ場にはなれないかとは願います。




     ここではこれまで、学力や集中力のことばかりではなく、性や狂気についてもそれとなくは触れることもありました。しかし死については、意識して避けてきました。

     それは大した問題ではないからではなく、むしろ青少年たちにとって、きわめて身近で大きなテーマだと考えていたからです。
     ある意味では青年たちにとって、そのことがすべてだと言っていいのではないかとさえ思います。



     そもそも生きることと死とは不可分です。

     青年たちはこの先どう生きていくかということについて悩み続けます。それは同時に、いま目の前のこの死の誘惑とどう折り合いをつけていくかということでもあります。

     たとえば、毎朝、通学電車がホームに入ってくるときの、無意識に抱く緊張感については、何人の高校生からきいたことか。青年たちの(そしてもちろん少年たちも)、ほんの軽い会話の中に、死ねとか、俺死ぬとかといった死に関係する言葉がどれだけの頻度で入ってくるかについては、気づいている人も多いでしょう。

     
     はたして、青年時代に死の誘惑に駆られなかった人など、いるのでしょうか。


     私は今までにさまざまな告白を受けてきたことがあります。その中で、自分はこれまでに死のうと考えたことが何度かあるというものも珍しくはありませんでした。本人はきわめてまれな願望であると考えていて、気味悪がられるのをおそれて(親も含めて)他人には言うのを控えていたということも多かった。
     しかしそれほど珍しくはないし、むしろ普通だということを伝えると安心する様子でした。
     


     しかしその水準ではなく、子供が実際に常に死の淵をさまよっているような状態になるという場合もあります。そのような家庭がどのような光景になるのか。

     
     あるお母様からの「娘が明日の朝も2階から生きて降りてきてくれるのか」という毎夜の不安の訴えは忘れることができません。


     子供についてなんとか算ができないとか、何々試験の点数がどれだけ悪い、あれが足りないこの部分がまだまだといった相談を延々と語り続けるような親御さんも時にはいます。そういうときに私はどうしてもこの訴えを思い出してしまいます。
     この子が明日も元気に2階から降りてきてくれるということを疑わずにいられるという幸福感。
     そういう肯定感が前提にあれば、子供の不足を何時間も語り続けることは難しいのではないかと思ってしまうのです。
     自分の子にそのような「繊細」な部分なんてないと、小ばかにする(過小評価をする)ような癖がついてしまっている人も時に見られますが、おそらくその子の青年として成長した内面を知れば驚くのではないでしょうか。


     ただ、たしかにこういうことは実際にそうならないと実感できないことなのかもしれません。
     私自身も他分野の自分が経験をしていないたいていのことについては同様でしょう。




     ところで、こうして考えている間も、日々、教室の子どもたちとは接しているわけですが、そのうちに不思議なことに気づきました。

     本来、私たちはこの子たちの支え役であるはずです。
     しかしこの子たちの日々の笑顔や、あいさつや、真剣な取り組みや、靴を脱ぎ散らして部屋に駆け込んでいく姿まで、そのひとつひとつの動きに接しているだけで、私自身にとっても実に癒しとなり、力を得ることができたのです。

     特に、直後の4月はこの子たちにどれだけ救われたことか。たとえば沖縄旅行記におけるT君のお気楽な、しかしだからこそたくましい生命力には、まさに直後だっただけに、大きく支えられました。



     それにしても、この教室を始めたことは確実に私自身にとっても良かった。


     おそらくそういえるような場でない限り、子どもたちにも肯定感は与えられないし、必要な時に支える場にもならないでしょう。
     問題のある場、病んでいる場では、スタッフ側にも充実感も満足感もないことが多いものです。
     その意味でも、基本的な部分でそれほど勘違いした方向にはいってないだろうということがこの期間に確認できたと思います。


     具体的な内容に関しても、再度検討をしました。それは今後の現場でも地味ながら堅実な形で反映をしていくことになりますので、ご期待を。


     さて次回からは、今年度の様子のご報告をしていきますのでお楽しみに。


     ばへのリンク→数理言語教室 ば
     H.I.

      
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    theme : 生きる力
    genre : 学校・教育

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    Author:数理言語教室 ば
     「小学から高校までの12年教育」
    【小1から始めて、集中力、継続力、自発性ある子に】

    ****************

    ■子どもたちは樹の香りのする寺子屋風の教室で、無垢の木の机を囲み、床に座ってのびのびと学習します。

    ■大学受験予備校講師や中学受験指導経験豊富なプロ講師が難関大学突破水準を目指し、12年間をかけて、子ども自身に読ませ、書かせ、考えさせることを徹底するという本来そうあるべき方法で丁寧に指導し結果的に高水準の学力をつけていくことを目指します。

    ■「自分からなかなか始められず、始めても続かない」「親や教師が常に横についていないと、まともに前も向いていられない」といういまどきの手のかかる子ではなく、長期間をかけ、集中力、継続力をつけ、自発的に学習できる子に育てていきます。

    ■設置講座:新小1、2、5、6、中1、3高2。小6年英語。

    ■ベテランプロ講師による医学部東大京大など難関大学、超難関中学受験個人指導、少数限定募集。

    ****************

     高の原駅近くに寺子屋形式の教室を開きます。
     子どもたちが杉の床に座り無垢の一枚板に向かって,たのしみながら,のびのびと学ぶ教室です。

     大学,中学受験のベテランプロ講師が,進学中学高校によらず,東大京大国立医学部など難関大学を目標に,小学1年生から高校3年までの12年間を一貫指導します。

     小手先の受験テクニックの暗記ではなく,長期的視点で「読む」「書く」「聞く」「考える」の基本から丁寧に習得することで,余裕をもって受験も突破するという本来そうあるべき形で学習を進めていきます。

    ※詳しくはお問い合わせください。


    ****************

    南野和俊〔代表「言語」担当〕
    :専門 受験国語

    難関中学,高校受験対策指導のベテラン。

    小学生の国語力を戦略的に着実につけていく指導で人気を博する。これまで関西の有名難関中学に数多くの教え子たちがいます。
    一方で大学受験生の指導も長く,多い。

    東京の超難関有名中高校を卒業後,大学では法学を専攻し,有名銀行での社会人の経験もあります。

    カメラから鉄道まで博覧強記。洋酒をこよなく愛し,パイプのコレクターでもあり,アメリカやイタリアのパイプ作家たちとも親交があります。

    石橋英樹 〔「数理」担当〕
    :専門 受験数学,物理学

    大学時代から20年以上を京都で過ごしてきました。

    大学での専攻は天文学。
    科学全般,思想,文学,文化人類学,社会学、映画論など,多くの分野に関心があります。

    超難関大学受験指導経験が20年以上あり、特に京大や国公立私立医学部には多数の生徒を送り込んできました。

    大人数相手の講義から個別指導まで各形式での指導経験豊富。
    大学受験生はもちろん,大学生,社会人,外国人留学生まで様々な指導経験があります。

    京大トップの学生から,全くの0の学力の学生まで,あらゆるレベルの生徒への指導経験多数。

    妻およびまだ幼い娘、息子、そして猫と暮らしています。

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