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    子どもを信じること

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    2年前の春、この教室でひとつのイベントが開催されました。
     「子育ての心理学講座」

     講師は田中茂樹先生です。


     大学院教授かつ脳科学者であり、医師、臨床心理士として現場にもあり、地域では少年たちのフットサルチームの指導者をし、おまけに男の子四人の子育て真っ最中の父親という、稀有な方です。


     うちの教室の幸運なところは、こういう人が偶然にも間近に住んでいて、おまけにその子どもたちがちょうど、教室でお預かりする年代だということでした。
     おかげで、田中さんとも直接のお付き合いができるようになりました。




     3年前にこの教室を開講するときに、ここで酒席が設けられました。その時の様子はこちら。

    客人


     まだ黒板も入っていない中で、最初に行ったのがこれでした。


     そもそもはここを始めるという話をどこかできいた田中さんから、一度説明をというご依頼のお電話があり、そのときに、ではまず飲みましょう、という偶然の流れからです。


     洋酒追求に半生をかける言語担当先生の趣味にかなっているという面もありましたが(?)、まさにかかわる人こそが、この場をつくることになるという意味で、この教室にとってふさわしい宴になりました。


     実際はこの場で、教室の教育方針などはほとんど何も語らず(つまり何も説明らしきことはせず)、おたがい興味のあることを楽しく語り合ったというだけだったのですが、最後に田中さんから、われわれに対し、子どもを通わせるにあたっての、親としての「注文」はひとつだけでした。


     先生方には、どんなことをやっていただいてもかまいません。好きなことをやってください。


     というものでした。

     
     このような言葉から得られる解放感。それを実感した瞬間でした。


     これで、この教室の方向性が決まったと私は思いました。
     




     1年後の春に、ふたたびほんの偶然から、この講座が開催されました。(この本のあとがきに触れられています。)


     お仕事などの都合に合わせて、昼開催と夜開催の2コースで3回ずつ行われました。

     それぞれが10名前後の方に来ていただいたのですが、子育て真っ最中の方、子育てを終えた方、これから子育てをする立場になるだろう方、いま育てられている立場の青年など、年代も男女も混成の、多様な人たちでした。


     講座の雰囲気は、田中さんのお人柄を反映して、じつに穏やかな、ユーモアのあるもので、テンポが良いのもあって、2時間があっという間でした。


     しかし内容は、フロイトの防衛機制に一回を割くなど、学問的な背景を押さえた本格的なもの。かつ、自分自身と子どもとの関係に限らず、子どもとしての自分とその親との関係にも思い至らせる、切実なものでした。


     そして講座後の質疑の場面でされるお話も、どれも誠実で真摯で、親子関係がいかにどの人にとっても大きく重要なものであるかが改めて感じられました。


     おかげさまで、ご参加の方々にご好評もいただいた、この講座でしたが、そこに見学にきていたのが、さきほどの最初の酒席で知り合った大隅書店の大隅氏。




     自分の名前の出版社をつくるということで、良い素材を探していた彼に、この講座を見て出版を提案していただいたのです。




     それから一年半。お手軽な本のあふれるこのご時世に、本気で本をつくるとはどういうことであるかを、間近にみることができ、私自身にとって貴重な経験になりました。



     この講座の段階でも十分に面白く、内容的にも完成したものであったにもかかわらず、各段階で大隅氏は厳しい注文を田中さんにつけていきます。これでもか、まだこれでもか、という具合です。

     出版はそのたびに遅れていくわけですから、彼にとっても決してのぞましいことではないはずです。しかしうちの出版社から出すには、妥協はしない。完璧を求めるという姿勢は一貫していて、プロの凄みを見せつけられました。


     凄さという点では田中さんも同様でした。もともと文章家でも読書家でもある彼にも、各段階で完成水準の自負はあったはずです。それを何度も大隅氏は、突き返す。このときの田中さんの心境は想像できます。しかし不平の一言もいわず、その注文に対応して、さらに書き直していくわけです。そのたびに、更に質が上がっていく。


     参加型の本作りを掲げる、大隅書店の方針のおかげで、その場にわれわれも参加をさせてもらいました。


     教室に何度も集まっては、「子供」とするか「子ども」かという点にまで濃密な議論を重ね、我々からの疑問も質し、内容が推敲されていき、タイトルが決まっていくという現場への参加でした。


     私にも途中原稿を読んでの、文章が大隅氏から求められたことがありました。真剣勝負をしてくれ、という注文でした。書き上げた文章を送ったのは、東日本の震災からまもない夜でした。



     あらためて書き直すべきかとも思いそれを載せることは控えてきましたが、いま読んでみても、これはこれでこのままが良いのだと現時点でも思えましたので、このページにあげておきます。

     子どもを信じることを信じること


     最終段階で、ゲラを読み、この内容ならということで、岡田千晶さんに挿絵を描いていただけることが決まったときは、わがことのような喜びもありました。



     そうして、彫琢に彫琢を重ねられて、この本。

     「子どもを信じること」

     は、出版に至りました。昨年の9月のことです。大隅書店の刊行本の第1作目にもなりました。



     出版後は、各方面で好意的に取り上げてもらい、いくつもの新聞や専門誌などで書評が掲載され、講演会もいくつも企画され、テレビ取材も決まりました。

     決して、安い値付けの本ではないのですが、読んだ方による周囲へのご紹介や、贈り物にしていただくことなども多かったようで、重版となることが決まりました。
     


     長く読み継がれる本を、ということがそもそもの目標でしたが、そうなりえた結果だとも思います。また、実際にこの本によって、少なくない命が具体的に救われるのではないかとも考えます。売れているということそのものよりも、そのことが何よりも価値だろうと思います。
     


     もう少し、早くこの本について触れるべきだったのかもしれませんが、関わりすぎていることもあって書きにくく、先延びになっていました。しかしちょうど今がタイミングでしょう。お預かりした一人、長男のこの教室からの卒業でもあるからです。


     慈雨、おめでとう。


     キミが2年前に、授業中の雑談で、友人たちに向かって、何の気なしに
    「家ってほんと、いいよなあ。くつろげるからなあ。」
     と、しみじみ言った場面が忘れられない。お父さんやお母さんにとっては何より嬉しい言葉だと思う。いつか、お二人には伝えようと思っていたが、ここで伝える。

     

     あのような飾りない、気負わない言葉がわが子から、ふともれるということこそ、「子どもを信じること」の何よりの結実だと思います。


    石橋


     ばへのリンク→数理言語教室 ば
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    theme : 子育て・教育
    genre : 学校・教育

    信じること

    これまで慈雨を見守ってくださってありがとうございました。

    「ば」がなければ、こんなに気持ちよく受験生の親を楽しめなかったでしょう。

    1年のときの和田先生の小説読みに始まり、
    後期前の南野先生の小論特訓までこんな授業を受けている幸運を
    慈雨がいつかかみしめる日がくるであろうと信じていました。

    私たち夫婦にとっても「ば」と出会えたことは人生でありえないほどの幸運だったと感じています。

    ありがとうございました

    慈雨ほど「ば」の恩恵を受けた子はいないと思います。

    「母親は子どもに去られるためにそこにいなければならない」

    先生方に多くのご支援をいただいた拙著の表紙にあげた言葉です。私たちは彼のすべてを受け入れるべく意識しながら家におりました。

    家の近くにある「ば」の「家でもなく」、「外の社会でもない」、特別の空間で彼は家を離れる準備をじっくりとしたと思います。

    いつでも帰ってこられる近さ(水を飲むのもトイレも)、しかし弁当を持って出かける日が最後は続きました。

    逃げ帰りたくなるような場面で、先生方の姿がずっと彼の心の中にあったと思います。

    「家の外には怖い人がいるから気をつけないといけない」ということを学ぶのではなく、

    「家の外にも親以上に自分を信じて支えて気にかけてくれる人がいる」ということを、慈雨はとことん体験させてもらえました。

    今後も慈雨をよろしく御願いいたします。
    本当にありがとうございました。

    旅立ち

     明美さん、茂樹さん、コメントをありがとうございました。この教室で最初は高校生をやるつもりはなかったのですが、ご夫妻との最初の面談中に慈雨から高校合格連絡の電話があり、それなら慈雨君も、やりましょうか、という偶然から設置されたクラスでしたね。いろいろな偶然が、重なって、ほんとうに不思議な感じです。
     それから、3年間。大半は文学を読みふけり、教室の床に寝転がり、バカ話をしては、時に手を動かす、といった、実にのびのびした高校生クラスでした。それが一転、最後の数か月の迫力は他ではめったに見られないようなもので、力が急激についていくのが、周囲からもすぐわかるような感じでした。ある意味で最も理想的な高校生活でしたね。

     今回の大学合格を知っての私の感想は、慈雨君を取ることができて、この大学は幸運だったな、というものでした。彼のようなリーダー的資質を持つ者はどこにおいても貴重だからです。おまけにこのようなまさに自分で切り開く勉強の仕方で、入試を突破してきたような人物はますます貴重なはずだからです。彼はきっとこれからさらに成長してくれることでしょう。いつかここでその体験談を後輩たちに話してくれる日を楽しみにしています。
    Secret


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    まとめtyaiました【子どもを信じること】

    2年前の春、この教室でひとつのイベントが開催されました。 「子育ての心理学講座」 講師は田中茂樹先生です。 大学院教授かつ脳科学者であり、医師、臨床心理士として現場にもあり、地域では少年たちのフットサルチームの指導者をし、おまけに男の子四人の子育て真っ...

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    プロフィール

    数理言語教室 ば

    Author:数理言語教室 ば
     「小学から高校までの12年教育」
    【小1から始めて、集中力、継続力、自発性ある子に】

    ****************

    ■子どもたちは樹の香りのする寺子屋風の教室で、無垢の木の机を囲み、床に座ってのびのびと学習します。

    ■大学受験予備校講師や中学受験指導経験豊富なプロ講師が難関大学突破水準を目指し、12年間をかけて、子ども自身に読ませ、書かせ、考えさせることを徹底するという本来そうあるべき方法で丁寧に指導し結果的に高水準の学力をつけていくことを目指します。

    ■「自分からなかなか始められず、始めても続かない」「親や教師が常に横についていないと、まともに前も向いていられない」といういまどきの手のかかる子ではなく、長期間をかけ、集中力、継続力をつけ、自発的に学習できる子に育てていきます。

    ■設置講座:新小1、2、5、6、中1、3高2。小6年英語。

    ■ベテランプロ講師による医学部東大京大など難関大学、超難関中学受験個人指導、少数限定募集。

    ****************

     高の原駅近くに寺子屋形式の教室を開きます。
     子どもたちが杉の床に座り無垢の一枚板に向かって,たのしみながら,のびのびと学ぶ教室です。

     大学,中学受験のベテランプロ講師が,進学中学高校によらず,東大京大国立医学部など難関大学を目標に,小学1年生から高校3年までの12年間を一貫指導します。

     小手先の受験テクニックの暗記ではなく,長期的視点で「読む」「書く」「聞く」「考える」の基本から丁寧に習得することで,余裕をもって受験も突破するという本来そうあるべき形で学習を進めていきます。

    ※詳しくはお問い合わせください。


    ****************

    南野和俊〔代表「言語」担当〕
    :専門 受験国語

    難関中学,高校受験対策指導のベテラン。

    小学生の国語力を戦略的に着実につけていく指導で人気を博する。これまで関西の有名難関中学に数多くの教え子たちがいます。
    一方で大学受験生の指導も長く,多い。

    東京の超難関有名中高校を卒業後,大学では法学を専攻し,有名銀行での社会人の経験もあります。

    カメラから鉄道まで博覧強記。洋酒をこよなく愛し,パイプのコレクターでもあり,アメリカやイタリアのパイプ作家たちとも親交があります。

    石橋英樹 〔「数理」担当〕
    :専門 受験数学,物理学

    大学時代から20年以上を京都で過ごしてきました。

    大学での専攻は天文学。
    科学全般,思想,文学,文化人類学,社会学、映画論など,多くの分野に関心があります。

    超難関大学受験指導経験が20年以上あり、特に京大や国公立私立医学部には多数の生徒を送り込んできました。

    大人数相手の講義から個別指導まで各形式での指導経験豊富。
    大学受験生はもちろん,大学生,社会人,外国人留学生まで様々な指導経験があります。

    京大トップの学生から,全くの0の学力の学生まで,あらゆるレベルの生徒への指導経験多数。

    妻およびまだ幼い娘、息子、そして猫と暮らしています。

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