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    大学を志望するということ

     教室の準備が次々とすすんでいます。近いうちには本棚も長い木の板とレンガで手作りをします。表札も生徒たちを含む自分たちで彫って作成する予定で,その他いろいろな企画もあれこれと予定しています。

     木の薫りはまだまだ部屋の中に満ちています。南向きの窓から差し込む陽光のためか,この時期でも部屋の中はあたたかで,暖房をつけなくても快適に過ごせるくらいです。床の木自体が熱をたくわえるのでしょうか。

     先日,二人の幼い子どもをこの部屋に少しだけ連れてきたのですが,来るなりにすっかり気に入った様子で,しまいにはここに引っ越そうとさえ言っていました。足の裏に触れる感触が心地よかったのでしょう。

     落ち着いて学習のできる空間をつくるために,あとひと月,さらにしつらえていきます。

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     さて,前回,「知っている」と表明することを巡る会話について述べてきました。実質的な意味があるかどうかは別として,人と人とは会話をかわすことができるわけです。

     実は,将来や大学を「志望する」という言葉および会話にもそれに類した構造があります。

     ある時期になると,教師は生徒に対し,将来や大学についてのまずは志望を早く決めなくてはならないといったことを迫ります。それを受けて,生徒も早く決めるべきなんだと,自らを追い詰め,さまざまな「志望」を返答し,それで会話としては成立です。つまりそこに「志望」が出現したのです。

     それを教師は指導簿に記載するわけですが,その時点で「志望」はすべて一覧になって等価を装ってしまう。
     しかし志望の意味するところを詰めて問わないままに表明された「志望」と本来の志望が同じ重さをもつわけがないのです。

     生徒たちの中にはその「志望」のために日々を必死に送る者も出てくる。なぜなら,それこそが自分の志望だから。日々をそのために努力しているから,それが志望なのです。
     他人にきかれたときには,それを志望だとこたえることで,その「志望」は強化されていきます。

     もちろん,まったく身が入らない生徒もたくさんいます。しかし彼らも「志望」に対して努力が足りない自分にどこか引け目を感じているように見えます。
     
     しかし考えてみれば,さしたる根拠も検討もなしに表明した「志望」ならば,そのために長いハードな努力を続けられる方が,むしろ不思議だとはいえないでしょうか。
     
     そのような構造に支えられた「志望」の脆さが露呈するのは,どういう場面でしょうか。それはもちろん,「危機」に直面したときです。センター試験後のまさしくいまがそのときです。
     自分の表明してきた「志望」の実質がどのようなものであるかが,まさしくこの場面で問われるのです。

     逆にその意味で言えば,それは同時にチャンスでもあると思います。
     わたしは多くの生徒に対して,この時をあえて待ちます。人は実際に直面しなくては理解できないこともありますし,適切な時に適切な対処をすれば,人は一段成長するからです。

     まさに今年もそのような光景が現在進行形で見られています。

     センター試験後にひとりの生徒がおどおどとした態度で顔青ざめて相談にきました。彼はある難関大学をずっと志望してきたのですが,センター試験の結果が芳しくなく出願校を下げると言い出したのです。きいてみると,数値判定では合格可能性は半分ないくらいのところでしたが,浪人の危険は絶対に避けたいので,可能性の少しでも高いところを受けようかと思うと言うのです。

     浪人をしたくないというが,何か特別な事情か,親が絶対にやめてくれと言っているのかと問うと,別にそんなことはないが,自分が耐えられないと思うからだとこたえます。
     わたしは彼の手元をみて指導をしてきましたので,彼の潜在能力やこれからの伸びを予想できます。これが機械的数値的判定にはできない,長い経験による判断です。 

     わたしは,ともかく抽象的に悩んでいても仕方ないし,その不安感のまま抽象的に判断するのは不適当だとアドヴァイスをしました。そして,ここでこそ過去の問題を解いてみる場面だと具体的に指示を出しました。実際に出題された問題を解いてみて,その出来具合で合否の可能性を判断すべきだと。

     かれは素直にうなずいて,そして二日後にふたたび現れました。

     アドヴァイス通り過去問題をやってみたが,思った以上にかなり手応えがあって,合格点に届きそうだと彼はいいました。そして,もう迷いはなくなったので,そこに出願すると,宣言しました。

     そのときの彼はまったく別人のように変化していたのです。
     表情はぐっと引き締まり,背筋も伸びて,まっすぐわたしを見て受験すると言ったのです。

     この表情です。
     この変化なのです。


     これがあるから教えることはやめられない。


     彼はこれで一段階成長をしました。長年の経験から言って,おそらく彼は通るでしょう。今年について,万一届かなかったとしても,来年には余裕でこの日を迎えられるはずです。
     ある意味では,このような成長は試験の合否よりも,生きていく上ではより重要なことだと思います。
     彼はこのチャンスを十分に生かしたのです。

     このような出来事は,「志望」ということへの構え方についてのヒントにもなります。上滑りな「志望」が,危機に直面して脆くも崩壊してしまったとき,どうせこんなものはいい加減なものなんだからと,単純に反転して,あっさり数値判定に従って,変更をしてしまう姿はたくさん見られます。

     しかし,いい加減さがわかってしまったときに,我々にはもうひとつの選択がある。

     それは,改めて自分自身でそれを選び直す,志望し直すという道です。
     そうして得られた志望ならば,これからも直面するであろう危機においても簡単には揺らぐことはないでしょう。 

     このような構え方は,志望についてに限らず,他の場面においてもヒントになるはずです。

     しかし今日は長くなりすぎました。


     さて,この木の床の教室においても,数年後に子どもたちがこのような成長を見せてくれることでしょう。それを愉しみにしながら,明日からも迎える準備をしていきます。



    数理言語教室 ば

    H.I.


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    Author:数理言語教室 ば
     「小学から高校までの12年教育」
    【小1から始めて、集中力、継続力、自発性ある子に】

    ****************

    ■子どもたちは樹の香りのする寺子屋風の教室で、無垢の木の机を囲み、床に座ってのびのびと学習します。

    ■大学受験予備校講師や中学受験指導経験豊富なプロ講師が難関大学突破水準を目指し、12年間をかけて、子ども自身に読ませ、書かせ、考えさせることを徹底するという本来そうあるべき方法で丁寧に指導し結果的に高水準の学力をつけていくことを目指します。

    ■「自分からなかなか始められず、始めても続かない」「親や教師が常に横についていないと、まともに前も向いていられない」といういまどきの手のかかる子ではなく、長期間をかけ、集中力、継続力をつけ、自発的に学習できる子に育てていきます。

    ■設置講座:新小1、2、5、6、中1、3高2。小6年英語。

    ■ベテランプロ講師による医学部東大京大など難関大学、超難関中学受験個人指導、少数限定募集。

    ****************

     高の原駅近くに寺子屋形式の教室を開きます。
     子どもたちが杉の床に座り無垢の一枚板に向かって,たのしみながら,のびのびと学ぶ教室です。

     大学,中学受験のベテランプロ講師が,進学中学高校によらず,東大京大国立医学部など難関大学を目標に,小学1年生から高校3年までの12年間を一貫指導します。

     小手先の受験テクニックの暗記ではなく,長期的視点で「読む」「書く」「聞く」「考える」の基本から丁寧に習得することで,余裕をもって受験も突破するという本来そうあるべき形で学習を進めていきます。

    ※詳しくはお問い合わせください。


    ****************

    南野和俊〔代表「言語」担当〕
    :専門 受験国語

    難関中学,高校受験対策指導のベテラン。

    小学生の国語力を戦略的に着実につけていく指導で人気を博する。これまで関西の有名難関中学に数多くの教え子たちがいます。
    一方で大学受験生の指導も長く,多い。

    東京の超難関有名中高校を卒業後,大学では法学を専攻し,有名銀行での社会人の経験もあります。

    カメラから鉄道まで博覧強記。洋酒をこよなく愛し,パイプのコレクターでもあり,アメリカやイタリアのパイプ作家たちとも親交があります。

    石橋英樹 〔「数理」担当〕
    :専門 受験数学,物理学

    大学時代から20年以上を京都で過ごしてきました。

    大学での専攻は天文学。
    科学全般,思想,文学,文化人類学,社会学、映画論など,多くの分野に関心があります。

    超難関大学受験指導経験が20年以上あり、特に京大や国公立私立医学部には多数の生徒を送り込んできました。

    大人数相手の講義から個別指導まで各形式での指導経験豊富。
    大学受験生はもちろん,大学生,社会人,外国人留学生まで様々な指導経験があります。

    京大トップの学生から,全くの0の学力の学生まで,あらゆるレベルの生徒への指導経験多数。

    妻およびまだ幼い娘、息子、そして猫と暮らしています。

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